H28都立高入試金星問題

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H28年の都立高の天文分野入試問題は確かに不適切な問題ですが、一歩深く考えると とても興味深い内容を含んでいます。  このページでは以下を説明します

・ 図3の公転軌道図から図1の星空スケッチ図を描く方法
・ 図3の公転軌道図から金星の天体望遠鏡での見え方を描く方法
・ 図3の公転軌道図から次の内合時期を計算する方法
・ 赤経/赤緯から方位角/仰角を求める方法(星空スケッチ図を描く方法の中で説明)




星空スケッチの作り方

金星の見え方

次の内合時期

入試問題原文



今後に向けての提言
(1)
学問的合理性を持たない「約束事」を使う試験問題を作らないでください。(例を下記に列挙)
ある生徒にとってはそれが常識でも、別の生徒にとってはそうでないからです。
・  星空スケッチ図では天体の並ぶ順序は読むが、離角量は読まない。
・  次回の合までの期間と現在の金星の位置とは関連させない。
・  金星スケッチ図は、大気差が無く大口径望遠鏡なら見えるはずの図である
・  天体望遠鏡でを覗くと必ず上下左右が逆転して見える
(2)
星空スケッチ図に、方位角、仰角の線を何本か入れるべきです。
星空スケッチ図は天球の広い範囲を地図化するため、図法により図が大きく異なるからです。
問題制作者もより厳密な位置に天体を配置する事になると思います。
教科書でも、シミュレーション図にはそれらを入れていますので、ハードルは 低いと思います。
(3)
外合日±3ヶ月の金星のスケッチ図を使うべきでは有りません。 薄明に望遠鏡を使い金星を肉眼で観察する場合、 この時期の金星は、位相が解るほど良く見えないからです。
写真の場合でも、どんな画像処理が施されたか解らないので、避けるべきです。
(4)
「模式的」という言葉を「どこが実際と違うかか」を明示せず使うのはやめて下さい。
今回の惑星軌道図では、天体自身の大きさと。地球から月までの距離が実際と異なります
でも、そう考えない人もいるでしょうし、別の箇所が実際と違うと考える人も出ます。




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