この頁では図3イの金星(外合付近)が実際にはどう見えるかを順に説明します。 後述の条件で計算した金星図だと、どの部分がどの位欠けているかを判別するのは困難です。 写真は長時間露出と種々の画像処理が可能ですので、肉眼でもそう見えると思うと誤ります。
次の仮定を置き、図3のイの位置での金星の、春分の日、日没30分後見え方を算出します。 ・ 望遠鏡は無収差、対物レンズ口径は16cm。 ・ 金星は完全乱反射をする。 ・ 大気差は計算に入れる ・ 金星から見た太陽と地球の離角は34°(位相角とも言います) ・ 地球から見た太陽と金星の離角は21°
まず光のあたった部分が同じ輝度だとした図を作ります。 入試問題は、この考え方の図だと思います 実際には陰影があるため、ハッブル望遠鏡でもこのようには見えません。 月ならこれでも構いませんが、金星の場合はこれとはずいぶん違う見え方です
次に金星各部の照度を反映させます。 面の垂線と太陽方向への線の成す角度のcosで照度が求まります 完全乱反射の仮定から輝度=照度で、各部の輝度が求まり下図となります。 ハッブル望遠鏡なら口径によるボケが小さく、かつ大気の影響を受けないのでこれに近い見え方だと思います。
次に口径の影響によるボケを入れて望遠鏡で地球から見た目の図にします 円形開口による回折の式(Fraunhofer)を使います。
先の図に大気差の影響を入れます 大気差は高度に依存しますので、金星の仰角13度を使いま ここまで考慮すると、入試問題の図2のような満ち欠けの図とは相当変わります。
最後に周囲がまだ明るいことを考慮します 周囲の明るさにより、いろいろと変わりますが、例えば以下のように見えると思います。 また大気の揺らぎが有り、観測を難しくします 参考 このようにさまざまな原因で、どの部分がどのくらい欠けているかを判別するのは困難です。